変形性膝関節症とは
どんな症状?
変形性膝関節症の主な症状は大きく2つ。膝の痛みと変形です。
進行に伴って膝の可動域(動かせる範囲)が徐々に制限されるようになり、末期には日常生活に大きな支障をきたすようになります。
痛み、膝の変形とも、発症の初期段階ではあまり強い症状は現れません。それゆえ、ある程度進行してから受診するケースが多いというのが特徴です。初期の状態で早めに気づいていただけると予後の状態もよくなりますので、以下の点にお気をつけください。
<初期の症状>
・膝がこわばる/引っかかる・歩き始めや立ち上がる際に痛む・膝が腫れる、熱っぽくなる
<中期の症状>
・階段の上り下り(特に下り)の際に膝が痛む・正座が困難・膝を動かすとミシミシ、ガリガリと音がすることがある・膝に水がたまる
<末期の症状>
・立っているだけで痛い・痛くて眠れない・O脚やX脚が顕著になる・歩行が困難
変形性膝関節症セルフチェック
症状が見られるものの、受診すべきかどうか迷われている方もいらっしゃることと思います。そのような方のためのセルチェック項目をご用意しました。受診の目安にお役立てください。
ひとつでも該当する方は、変形性膝関節症が疑われます。
□ 歩きはじめや立ち上がりに膝が痛む(しばらくすると治まる)□ 朝起きたとき、こわばりなど膝に違和感がある□ 正座やしゃがむ動きがしづらい□ 立ち仕事や重いものを持つ仕事、立ち座りの多い仕事をしている□ 膝を伸ばして座ると、床と膝裏の間にこぶし1つほどの隙間ができる
ひとつでも該当する方は、変形性膝関節症と診断される可能性高いです。
□ 膝の痛みで階段の上り下りがつらい□ 膝が腫れぼったく熱を帯びている□ 膝の痛みで小走りが難しい□ 動いてから時間がたっても痛みが引かなくなってきた□ 膝を動かすとゴリゴリやミシミシという音がする
どれぐらいの頻度で起こる?
・日本では、変形性膝関節症による膝の痛みを抱えている患者さんの数は約1,000万人と推定されています。・痛みの自覚症状は無いものの、レントゲン所見上の異常が認められる推定有病者数を含めると、その数は約2,500〜3,000万人にも達します。・特に中高年に多く、40歳以降に増え始め、50代以降の2人に1人が当てはまります[1]。
どんな人に多い疾患?
変形性膝関節症になりやすい人には、次のような特徴があります。
■女性(閉経後)
閉経後には骨、軟骨、筋肉を丈夫に保つ女性ホルモン(エストロゲン)が激減します。
■肥満
体重増が膝への物理的な負荷となり、膝組織の損傷を早めます。また、内臓脂肪から分泌される物質が膝の炎症を促進し、損傷速度を加速します。
■スポーツや仕事などでよく膝を使う
膝にどれだけ大きな負担をかけてきたか、その負担がどれだけ続いていたかは、発症時期や重症度に大きく影響します。
■普段全く運動をしない
体重が標準でも普段ほとんど動かない方は、筋力が弱く、相対的に体重過多となり、リスクが高いと言えます。
■O脚やX脚
O脚やX脚の膝は、内側と外側で均等に圧力がかかりません。強い力が加わる部分は、それだけ早く軟骨は損傷します。通常O脚の人は膝の内側に、X脚の人は膝の外側に痛みが出やすくなります。
*詳しくは、QA「O脚だと変形性膝関節症になりやすいですか?」をご覧ください。
■重い荷物を頻繁に運ぶ/日常的に膝を深く曲げる
重い荷物を持つと、それだけ膝にかかる負担は大きくなります。日常的に重い荷物を運ぶという人は、リスクが高くなります。また、膝を深く曲げた状態で仕事をされる方も軟骨や半月板の損傷が進みます。
■脚の筋肉量が少ない
膝関節周辺(太ももやふくらはぎ)の筋肉は、膝を動かすだけでなく、膝関節への負担を減らす役割も担っています。
■近親者に変形性膝関節症の人がいる
さまざまな研究の結果、変形性膝関節症になりやすい遺伝的素因があることがわかっています。
変形性膝関節症の進行とメカニズム
正常な膝関節の構造は?
・膝関節は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(スネの骨)、膝蓋骨(膝の皿)という3つの骨で構成されており、これらが滑らかに連動できるよう、接合する部位には軟骨や半月板というクッションの役割を果たす組織があります。・一方、膝関節を構成している骨をしっかり固定し、曲げたり伸ばしたりという動きをコントロールしているのが、筋肉と靭帯です。・膝全体は関節包という袋で包まれており、その袋の中は滑膜から分泌される関節液で満たされています。・関節液は無色透明、ネバネバと粘り気のある液体で、主な成分はヒアルロン酸やタンパクです。関節の摩擦を減らし、動きを滑らかにすると同時に体重を分散させ、関節軟骨に酸素や栄養を届けるという重要な役割があります。
変形性膝関節症の膝の中はどうなっている?
・変形性膝関節症では、膝軟骨が磨耗した状態になっています。・本来、軟骨の表面は非常にすべすべしているのですが、長い年月にわたって重い負荷がかかり続けたり、バランスの悪い負荷が重なったりすると、徐々に滑らかさと柔軟性が失われます。・やがて軟骨の表面は毛羽立ち、軟骨そのものも削り取られていきます。
痛みの原因は?
・痛みの原因は関節内の炎症です。・炎症は、削り取られて関節包の中を漂っていた軟骨のかけらが滑膜を刺激することで起こります。・炎症が起こると、滑膜などの関節成分からから多量に関節液が分泌されるのですが、同時に炎症性サイトカイン(情報伝達物質)も分泌され、さらに痛みや腫れが強くなります。・ちなみに「水が溜まる」という現象は、滑膜などの関節成分から多量に分泌された関節液の影響で膝が膨れ上がった状態を指します。この状態の関節液には、ヒアルロン酸などの有効成分が欠乏しており、関節の摩擦を減らしたり、体重を分散させたりする力はなく、逆に内圧が高くなると、さらに関節軟骨を損傷するという悪循環を引き起こします。
膝の変形はなぜ起こる?
・見た目の変形は、軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合うことで生じます。また、体重が不均等にかかることで、負荷の大きい場所の骨は増殖し、硬くなり、骨棘(こっきょく)と呼ばれる変形を生じることもあります。・軟骨がすり減って消失してしまうと、次には大腿骨と脛骨が直にぶつかって、互いの骨をすり減らしてしまいます。・この時、骨には再生能力があるので、すり減って失われた骨を再生させようとするのですが、膝には常に上から負荷がかかっている状態なので、正しい位置に骨を再生させることができません(少し横にはみ出した状態で増殖してしまいます)。このはみ出した状態もまた骨棘と呼びます。・骨棘の形成が進むと、膝の内側と外側にかかる体重差が大きくなり、O脚やX脚のように、見た目の変形も顕著になっていきます。
診断方法
診断はどう進める?
・問診、視診、触診で得た情報と、各種検査結果を踏まえて総合的に判断します。・変形性膝関節症で強い痛みを感じる場合は、かなり状態が悪化していると考えられます。・40歳以上で、特に思い当たる節がないのに徐々に膝が痛くなってきているという方は、早めに整形外科を受診してください。
■変形性膝関節症の診断時に確認するおもな項目
目的 | 内容 | |
問診 | 現状の確認 | ・いつから痛むか ・どこが痛むか(膝の外側or内側/膝の皿の上or下) ・いつ痛むか ・どんな痛みか ・痛み以外の症状(こわばる、熱がある、音がなる、など) ・これまでに経験のあるケガや病気 ・家族で関節の病気になった人の有無 |
視診 | 動作への影響の確認 | ・O脚やX脚が見られるか ・膝の曲げ伸ばしの様子 |
触診 | 膝内部の状態の確認 | ・押すとどこが痛むか ・腫れや熱はあるか ・曲がり具合はどうか |
X線撮影 | 骨の状態の確認 | 立った状態で膝関節を撮影 |
MRI撮影 | 骨以外の組織(軟骨、腱、靭帯、半月板など)の状態の確認 | 横になった状態で膝関節を撮影 |
関節液検査 | 炎症の原因や程度を調べ、変形性膝関節症以外が原因である可能性も確認 | 注射で関節液を抽出 |
重症度の分類方法は?
変形性膝関節症の重症度分類として、最も一般的なものはK-L分類です。
初期から手術治療の適応になる進行期まで、全部で4つのグレードに分類しています。K-L分類の判定には、X線画像(レントゲン)を用います。レントゲン写真から骨の状態を読み取るとともに、関節の隙間の大小を計り、それを元に重症度を分類するというものです。なぜ関節の隙間に着目するかというと、この隙間には軟骨があり、軟骨がすり減ることは、症状の悪化を意味するからです。
治療方法
初期の治療の進め方は?
・初期の治療の中心は運動療法です。・運動療法は膝関節を支える筋肉の強化と、膝の柔軟性を保つことを目的に行います。・日常生活に支障が出るほどの強い痛みがある場合は薬物療法(非ステロイド)を検討します。・患部は基本温めるようにして、血行を良くするように心がけてください(痛みの元になる物質が排出されます)。・ただし、急激に炎症が悪化した場合は冷やしてください。
Step1:運動療法/装具・薬物の処方
・症状の進行を防ぐ運動療法を行います。・膝への負担を軽減するために、装具の使用を勧める場合があります。・痛みが激しい場合は薬物療法を検討します。
Step2:家庭でのケアを継続
・運動療法や物理療法※などを自宅で継続します。※物理療法:入浴による温熱や保冷剤による冷却など、温めたり冷やしたりすることで痛みを和らげる治療法。
中期の治療の進め方は?
・膝に水が溜まっている場合は、水を抜きます。・水が溜まって腫れが激しい場合、水が溜まっていなくても運動時に痛みが続く場合は、膝にヒアルロン酸を注入します。・関節内の処置を行った後は運動療法を継続し、必要に応じてサポーターや装具の使用を勧めます。・日常生活に支障が出るほどの痛みには薬物療法(非ステロイド)を検討します。・医療機関でのケアで症状が安定してきたら、家庭でのケアを継続します。
Step1:関節内の処置
・関節に水が溜まっていれば水を抜き、必要に応じてヒアルロン酸を注入します。・抜き取った水は検査し、他の疾患の可能性がない確認します。
Step2:運動療法/装具・薬物の処方
・症状の進行を防ぐ運動療法を行います。・膝への負担を軽減するために、足底板※などの装具の使用を勧める場合があります。・痛みが激しい場合は薬物療法を検討します。
Step3:家庭でのケアを継続
・筋力を強化し、膝の動く範囲を維持できるよう、運動療法は引き続き継続します。・ケアの基本は患部を温めることです。・ただし、痛みが激しい時は、一時的に冷やして炎症を鎮めます。
※足底板:足の外側に楔形の板を差し込んで持ち上げる器具。これによって、膝がまっすぐに矯正し、負荷を分散させる。
進行期の治療内容は?
・痛みや腫れなど、膝の炎症が強い場合は薬物療法(非ステロイド系)を行います。・非ステロイド系の薬物療法で効果がみられない場合は、ステロイド薬の関節内注射を検討します。・薬物療法で十分な効果が得られず、日常生活も大幅に制限される場合は手術療法を検討します。・手術後の状態が安定したら、できるだけ早期からリハビリテーションを開始します。・リハビリ後は、医師や理学療法士などの指導のもと運動療法を継続します。
Step1:薬物療法(非ステロイド)
・炎症が強い場合に検討します。・内服薬、湿布、座薬など剤形はさまざまで。個々に特徴が異なります。
Step2:薬物療法(ステロイド)
・痛みが非常に激しい場合に検討します。・ただし、軟骨への悪影響の懸念があることから、この治療を頻繁に実施することはできません。
Step3:手術療法
・運動療法や薬物療法などで十分な効果が得られず、日常生活にも支障が出ている場合に検討します。・短いものだと1週間、長いと4カ月ほどの入院を要します。
Step4:リハビリテーション
・経過観察をしながら、徐々にリハビリテーションを進めていきます。
Step5:運動療法
・手術で変形が改善されても、これを動かし続けないと膝の機能は弱まってしまいます。・運動療法を通じて、膝を支える筋肉の強化と、膝の柔軟性の維持に努めましょう。
<手術療法の種類>
変形性膝関節症の治療で行われる、代表的な手術療法をご紹介します。
①関節内視鏡下手術
半月板の損傷した部位や、剥がれ落ちそうになっている関節軟骨を関節から取り除きます。根治手術ではなく、あくまでもクリーニングによる対症療法です。
半月板の損傷が原因の症状は取り除けますが、そのほかの全ての症状が取り除けるとは限りません。手術後数日で歩行できるようになりますが、効果が短い場合もあります。
・手術時間:40〜60分・入院期間:日帰り〜1週間・日常生活の復帰まで:1週間〜10日程度・向いているケース:合併している病気のために他の手術が選べない患者様
②高位脛骨骨切り術
すり減っていない側のスネの骨の一部を切り取って、偏っていた荷重を均等にする手術です。損傷関節面への負荷が軽くなり、健常部位へ荷重を分散することができ、術後の回復に数ヵ月要しますが、術後、高い満足度を得られる適応は限られています。
・手術時間:1時間半程度・入院期間:1ヵ月半〜2ヵ月程度・日常生活の復帰まで:退院後2〜4ヵ月程度・向いているケース:比較的若く、活動性の高い患者様
③人工関節置換術
すり減った関節の表面を、金属やポリエチレンでできた人工関節に置き換える手術です。関節全体を置き換える場合と、部分的に置き換える場合があります。正座など、深く膝を曲げる動作はできなくなりますが、普通の生活を送る分には問題ない程度の回復は望めます。
・手術時間:2時間程度・入院期間:1ヵ月程度・日常生活の復帰まで:手術後1ヵ月程度・向いているケース:70歳以上で比較的活動性が低い患者様
※人工関節についてはQ&A「人工関節のメリット、デメリットを教えてください」でも詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
重症度の進行を抑えることはできない?
・変形性膝関節症は時間をかけて徐々に進行していく疾患であり、一度進行したものを元に戻すことは不可能だと考えられてきました。・しかし、数年前より病気の進行を抑えることが期待される治療法(=再生医療)が実用化され始めています。・再生医療は、主に初期から中期以降(K-L分類でグレード2以上)の病態が適応となります。・現在、膝関節の再生医療として特に注目を集めているのは、PRP治療と培養幹細胞治療です。
■膝治療で受けられる再生医療
PRP治療
<特徴>・スポーツのけがや変形性膝関節症に有効・注射だけでできる手術しない治療法・採血と同じ日にひざに注射できる
培養幹細胞治療
<特徴>・脂肪採取が少しなので体に低負担・培養するのに6週間ほどかかる・幹細胞の保存ができ複数回の投与が可能
重症度に関わらず意識すべきことは?
・運動療法です。運動療法は、重症度に関わらず全ての患者様が対象になります。・膝関節を支える筋肉を鍛えることで、痛みを軽減したり、膝への負担を軽くしたりすることができます。・痛みを庇って膝を動かさないようにすると、筋力が衰えて関節の変形は進行します。・また、他の治療で痛みを改善しても、筋肉を鍛えなければ痛みの症状は繰り返され、徐々に状態も悪化していきます。・運動療法を無理なくできるようにするためにも、痛みを軽くすることが必要です。
■筋力アップに有効な運動療法
足上げ体操
①仰向けに寝て、片膝を直角に曲げ、もう一方の膝を伸ばす。その際足首は90度に曲げる。②伸ばした足を10cm上げ、5秒キープする。③上げた足をゆっくり下ろし、2〜3秒休む。④1〜3を20回繰り返した後、逆の足も同様に行う。
横上げ体操
①横向けに寝て、下側の足の膝を直角に曲げる。②上側の足を10cm上げ5秒キープする。③1~2を20回繰り返したあと、逆の足も同様に行う。
よくある質問
変形性膝関節症なのですが、よく膝に水が溜まります。抜いたほうがいいのでしょうか?
腫れがひどく、膝の曲げ伸ばしに不自由するような場合は水を抜くことをお勧めします。膝に溜まる水の中には痛みや炎症を悪化させるサイトカインが含まれるので、痛みを緩和する意味でも有効です。また、水が溜まり、関節内の圧力が高い状態は、軟骨の損傷を悪化させる可能性があります。
ただ、膝に溜まる水は関節内に繰り返す炎症が主要な原因の一つなので、炎症を起こさないようにしない限りいずれまた水が溜まる可能性が高いです。逆に炎症さえ抑えれば、膝の腫れは自然に引いていきます。水を抜くとともに、炎症を抑える治療や運動療法を並行して行うことが大切です。
ヒアルロン酸注射があまり効きません。続けてよいでしょうか?
ヒアルロン酸注射で膝の痛みが和らいだとしても、それは一時的なもので、慢性化した炎症を抑える効果はほとんど期待できません。
膝の痛みと炎症を長期的に、かつ手軽に、手術をせずに改善する方法としては、再生医療か、そのメカニズムを応用した治療法が有効です。当院の治療で言うところの「培養幹細胞治療」と「PRP-FD注射」がそれに当たります。興味がおありでしたら、ぜひご確認ください。
日常生活で気をつけるべきポイントを教えてください。
意識していただきたいことは、膝にかかる負担をなるべく減らすということです。
膝への負担が大きい動作の例としては、しゃがむ、正座する、階段の上り下り、重いものを片手で持ち上げる、急に動く、急に止まる、飛ぶ、走るといったものが挙げられます。
これらを回避する具体的な方法として、床に直接座らず椅子を使う、寝具を布団からベッドに変える、様式トイレを利用する、リュックやカート付きのバッグを利用する、階段に手すりを付けるなどが考えられます。
ご自分の生活様式に照らし合わせて、取り入れられるものはぜひ行ってみてください。
膝が痛いのに運動をしないといけませんか?
無理のない範囲で構いませんので、少しずつでも継続してください。膝を支える筋肉を鍛えることで、膝関節への負担は確実に軽減されます。
状態に見合った無理のない運動法については、主治医か理学療法士にご相談ください。
太らないために食事面で気をつけることがあれば教えてください。
毎日3回決まった時間に食事を摂ること、寝る直前の食事は避けること、慌てずゆっくり食べること、夕食は就寝の3時間前までに済ませることなどを意識してください。また、野菜を多めに摂ることも大切です。間食はお菓子ではなく、果物や乳製品を摂るようにしましょう。
サプリメントは意味がないのでしょうか?
一般的にサプリメントとして販売されているものについては、科学的な有用性が認められていません。その一方で、全く効果がないということも報告されていません。おそらく個人差が大きいと考えられます。栄養素として無効だとは言い切れないので、ご自分で有効性が感じられないのであれば、中止いただいて構いません。
レントゲン所見上は異常が見られないのに、痛みを感じます。なぜでしょう
レントゲン画像では骨の状態を確認することができますが、変形性膝関節症は骨の異常だけが原因とは限りません。骨に異常をきたす前段階として、軟骨や半月板、関節液にも異変をきたしますが、レントゲンではこれらの変化は読み取れません。レントゲンで異常がないのに痛みを感じる背景には、そうしたことが関係していると考えられます。
痛みが強い場合は、冷やすべきですか、温めるべきですか?
強い痛みが急激に襲ってきた場合(急性期)は冷やすのが基本ですが、痛みが完全に収まらず長引くようなら温めてください。その際、膝だけを温めるのではなく、ゆっくり入浴するなどして全身の血行を良くすることも効果的です。
夏場の冷房による冷えも要注意です。冷気が直接当たらない場所に移動するか、膝掛けなどして対処してください。
脚注